「サイゼリアの店長だった」。小学生、たぶん2〜3年生くらい、女の子が3人がカウンターに横並びで座っていて、そのひとりがそう言った。私は8席もある大テーブル(他に2人がけ、4人がけのテーブルがある)に座っている。夏休みにはいった子供を連れた家族が3組。13時過ぎに入店して、もう客が増えないということだろう、子連れから少し離れたテーブルに通された。ちょうど『書くことの哲学』で書き出しについての章を読んでいたタイミングで「サイゼリアの店長だった」と小学生が言うのが聞こえたので、これは書き出しにいいとメモをしたが、前後の会話は全く聞こえず、誰がサイゼリアの店長なのかはわからないまま。
朝。6時半のラジオ体操に行った息子が7時前にカブトムシをもらって帰ってきたので、起きて虫カゴのセッティング。そのまま朝食を用意した。5週目の月曜日はゴミの収集がない。部屋に掃除機をかけて、モニタに向かうが別に仕事はしていなくて。友人との連絡と領収書の登録だけ。妻と息子は友達とコメダ珈琲に行く約束があると11時前に出て行ったので、小一時間ギターを弾いた。このギター、買ったときからピックアップセレクタの調子が悪い。近所のリペアショップに夕方持って行くと連絡。同じあたりにある本屋の知人に漫画を4冊お願いしていたのを思い出して、同じく近くの蕎麦屋で昼食を取ろうと向かう。(昼食後に本屋には行ったが、漫画を頼んだのが酒を飲んでいるときだったので忘れられたよう。本人は不在。また会ったらお願いすることにする。)
蕎麦屋まで50メートル。店から出てきた二人組とすれ違う。表通りの入り口ではなく、裏口から。こちらからはカウンター席が見えて、手前の2席が空いている。ここでよかったのだが、広い大テーブルに通される。知らない店員でカウンターでいいと言えず、やや混んだ店内の広いテーブルに一人。メニューはテーブルの真ん中に置いてあるが、オーダーしやすいよう端の席に座る。水を持ってきたタイミングで、稲庭うどんとそば豆腐、瓶ビール(黒ラベル)を注文して、うどんはもう作って良いかと聞かれる。コップの水をほとんど飲んだ。
ラベンダー色のワンピースを着た小学生が食事に飽きたのか、店の中をフラフラしているのが視界に入る。視界には入らないが同じグループ、家族に男の子もいるよう。「触らないでね、触らないでね」と、店の装飾品を触らないようにと祖母らしき人が何度も注意する声。ビールとそば豆腐が運ばれてくる。本を置いてグラスを左手に持ち、右手でビールを注ぐ。最初はそうしないと泡が立ちすぎる。注いだグラスを置いて、箸を割ろうか、それとも一口飲もうか迷って、グラスに口をつけた。箸を割って、そば豆腐を少し切った。味が変わったか?
この店にはしばらくきていなかった。家から少し遠いのと、うちと幼稚園が一緒だった一つ上の子供をもつお母さんが働いていてその人の人柄が良くてきていたが、小学校に入ってなんとなく足が遠のいた。なんとなくでしかない。稲庭うどんがそう時間を空けずに運ばれてきた。氷が4つ乗っている。左手に本を持ったまま、つゆをそば猪口に移し、次にネギの乗った小皿を傾けて入れようと小皿を持ち上げると、そば猪口が視界を遮って見えていなかった生姜が小皿の端に添えられていた。仕方なく本を置いた。
触らないでねと注意されていた男の子が入口の引き戸を不要に開けているのを母親が見つけドアを閉めるように注意する。「自動にしまるんだよ」と男の子が言ってすぐに閉めない。そういうことじゃないぞー。うちの息子も同じようなことをやるので、どこもこんなもんだから気にしなくていいと思う。もう一度注意されて、それを誤魔化すために舌を丸めて弾いてカッカッカッと鳴らすところまで一緒。
うどんを食べ終えて、そば豆腐に戻る。前に食べてた時もこんな味だったような気がしてきた。そば猪口をお盆に乗せて、お盆を少し奥にやり、手前にグラスを置いた時、夏休みのようなきがした。なんとなくでしかないが。