この物語はフィクションです。これまで私が食べていたご飯は全て嘘でした。というくらいのニュアンスでこのテキストを読んでほしいなと、思っていますがどうでしょう。
今日は前職のスタッフ(私が室長を務めていた頃の(形式的には)部下)4名が私の借りているシェアオフィスのある熱海市に集まる日。私が会社を辞めてから5ヶ月程しか経っていないものの、そもそもリモートだったこともあり、「久々感」の高さでいくと1年くらい会ってないような感覚で、そわそわしながら午前中のミーティングと、午後の2本のミーティングを終えて、夕方の5時くらい、ビール片手に集合し…と書いているところで(これを書いているのは23:30着の電車で帰ってきた私)、さっき帰ってきてシャワーを浴びながら良い言い回しを思いついたはずなのに、それを忘れてしまって「ああ、先にその言葉だけメモしておけばよかったな」と思っているものの、「まあ、忘れてしまったくらいだからさほど良い言葉ではなかったのだろう」と、macbookの横に置いてある、帰ってきてから開けた赤ワイン(スペイン産)を飲んでいる。
昼ご飯について書く、ということだけが決められているので、まずは落ち着いて昼ごはんについて回想することを始めてみようと。(ワインを注ぐ音) という、ト書を模したテキストを打っている時点で「このテキストはあったことをあったままに書く」というスタンスから外れていて、あまり良くないなとは思いつつ、まあ、誰が読むものでもない文章なので、改める・振り返るなどという整えは、散々クライアントワークによって染み込んだ考えなので、一度タイプした文章は無責任に責任を持つ、というのが良かろうと。という、ことを書くことで「このテキストはあったことをあったままに書く」ということを担保したい。
午前中の打ち合わせを自宅で終え、正午過ぎにシェアオフィスのある熱海に着く。同時刻に新幹線で到着したメンバーと改札で合流する。彼の髪が伸びている。昼ごはんは先に現地入りしていたもう一人と3人で食べることになっていて。昼ごはんを食べる場所をどうするか、に関しては、私が候補を出さざるを得ないので、行ったことのある店・行ったことはないが行った方が良い店のリストをSlackに投稿し、その中にあった三島由紀夫が愛したハンバーガーを出す(私の行ったことのない店)へ向かう。 外にはメニューらしきものがなくて、どうしようか躊躇するが、一緒にいる一人がグググと入ってくれるので有難い。「ランチはありますか」と聞いてくれて、オーナーらしき男性が「無いが、ハンバーガーセットはある」と答えて、それが食べたかったのだ、となる。実は三島由紀夫の本は一冊も読んだことがない。
やや小ぶりなグラスに入った水が出されから数十分待った頃に、空のコーヒーカップが人数分運ばれてきて、空だな、と思っていると、「これからコーヒーを注ぎます」と、その男性が言った。