私は海苔チャーシュー麺(1,000円)を頼んだ。妻は牡蠣味噌ラーメンを。さらに初めての店で量も味も分からないというのに、シェアしようと「キノコ炒飯」を注文していたが、「キノコ炒飯」のメニュー横に添えられている写真は焦がし醤油を使った「黒炒飯」だ。ゾーニングが曖昧なせいで妻はそれを「キノコ炒飯」だと思って注文したと思う。デザイナーの私はこの曖昧な境界線を見分ける能力がある。曖昧な境界線の説明が難しいので指摘はしなかった。
昨日は「これは実際に会って話した方がいい」と判断した打ち合わせのため、都内へ行った。行きはロマンスカーで帰りは東海道新幹線。行きのロマンスカーは1時間以上。MacBookを膝の上に乗せて仕事していたせいで乗り物酔いになる。帰りの新幹線は都内に出た疲れか腹痛になった。今朝起きて、昨日の疲れを引きずるかと思ったが、そこまで体も心も繊細ではなかった。 火曜日はgifteeという会社の稼働日として契約しているので、基本、他の作業はいれない。ただ、今日は作業が多くなかったので午前中、昨日終えられなかった洋服の店舗に設置される映像用の画面デザインをする。 11時過ぎにAmazonから荷物が届く。荷物の中身は今年のクリスマスに4歳の息子にあげるトミカの駐車場のようなビルのセット。大きい。注文時にギフトラッピング(赤い布袋)を指定した気がしたが、ダンボールの中には商品の箱しかない。注文履歴を見てもギフトラッピングが入っていなかった。ギフトカードのフォームに「さんたより」とタイプしたはずのグリフはインターネットの隙間に落ちてしまった。 子供の体操教室見学を終えた妻が幼稚園から帰ってきた。なぜラッピングされていないのかと聞かれる。ギフトカードに「さんたより」と書いた(書こうとした)こと以外を伝える。魚屋に行きたいというので、商店街の方へ昼ごはんを食べにいくことにする。 商店街にあるドン・キホーテの斜向かいくらいに一度も入ったことのない中華料理店がある。入口の横は円柱状のガラスが張り出していて、おすすめ料理や地域情報などのチラシが貼られている。鷹の台駅から武蔵美に向かうために通る商店街の端にある中華料理店も同じように円柱状のガラスが張り出していたのを思い出したが、これも大学が違う妻には伝えない。
メニューはかなり綺麗に撮影された写真入り。店内には自分たちで撮影したと思われる、全くスタイリングされていない写真に料理名と価格が書き込まれ貼られている。ラーメンも塩、味噌、坦々麺、汁なしとバリエーション豊富。同じ麺でも焼きそばがあり、これも普通の湯でそば、揚げ、あんかけとある。さらにワンタン麺のワンタンも自家製。炒飯に至っては期間限定風なペンで書かれたテキストメニューも含めると10種類くらいあるようにみえる。 チャーシュー麺にしようと決めた状態で色々と眺めている。第二候補はワンタン麺。新しい店を塩ラーメンや醤油ラーメンのようなシンプルなメニューで始めるのもいいが、色々具材と調理法が混在しているものを注文する方が、シンプルなものがシンプルに美味しくなかった時よりも次へのヒントが多い。 釣り、特に先週末に行ったカワハギ釣りも同じ考え方で、事前知識でガチガチに固めた王道一本でやり通すよりも、欲張りすぎなくらいに手を尽くす方が、次の釣りにつながる。この釣れないけれど可能性を試している状態は外からは見えづらくて、釣れたところだけに目が向けられてしまう。また、釣りの上手い人は釣れない時に試すパターンが高度に絞られているので、それすらも論理立てることができるが、そんな人はごくごく稀。私たちは「なんだかよく分からないけど感覚的に試してみる」という無駄を精一杯やることから始めるのである。