会社員終了まであと2日。昼間は恵比寿の飲食店へ新しいサイトに向けたヒアリング。賄いはお酒に合う料理を考える時間としてテイスティングもやっているという話だけ聞いて、空腹のまま13時過ぎに街に放り出される。 会社から引き上げる荷物もあるので、久しぶりに日比谷線で銀座に向かう。日比谷線は今の会社に勤める前から子供ができて引っ越しをするまで、ずっと使っていたから一方的に親しい路線だと思っていたが、知らない間に新しい駅が増えていた。
荷物を置いて遅めのランチをしようと部署の部屋に入るがリモートワーク主体にしているので、殆ど人がいない。どちらが退職者か分からないような雰囲気。 昨日パンを食べてしまったし、いくつかの飲食店には退職する旨を伝えたいと思っていたので今日は地下にある蕎麦屋に向かう。
私が近づくとちょうどオーナーが荷物をどこかに運ぶために出てきたところだった。後ろ姿を見ながら「食べている間に戻ってこないかもしれない」と思いつつも、声は掛けずに店に入った。 テーブルを勧められるが座るのは奥から2番目のカウンター。いつもカウンターでしたね、と言われる。そして、いつもの冷たい出汁を掛けた蕎麦に味付けされた鶏肉がのった冷やし地鶏蕎麦のおろし付きを注文。リモートワークで殆ど来ていなかったので前の味はうろ覚えだが、汁の塩がきつく感じられた。涙では無い。勝手にスタッフの体調を心配する。
オーナーが戻ってこれるようにいつもよりゆっくりと本を読みながら食べるとちょうど食べ終わったタイミングで戻ってきた。 お会計をするときに明日で退職することを伝える。「漁師にでもなるのか」と聞かれるが、家族がいるのでそれは難しいし、まだ船舶免許がないと伝えた。 別れ際に「またね」と言うので、私はまた来るのだと思う。
打ち合わせまで少し時間があるので、もう一つ会社員のうちにやり納めておくべき松屋銀座の屋上も駆け足で済ませることにした。地下のパン屋で甘いタルトと紙パックのミルクコーヒーを買って、B1F・1F・8F・RFの直通エレベーターで屋上に上がる。
去年は中止していたビアガーデンが今年はオープンしていた。それでも人数制限はしているのだろう。
本の続きを少し読んで、いつも通り帰りは階段で。階数の数字はオリジナルの書体なのだが「8」が雪だるまのようでかわいい。7Fのヨーガンレールで雑貨を少し眺める。昔買ったグラスより小ぶりなものを探しているが無いので、そのまま1Fまで降りていく。館内の換気をしているせいか、化粧品の匂いもそういえばキツくない気がした。