こんにちは。銀座のオフィスでウェブデザインをすることでいただいたお給料で、陶芸用の土や釉薬、釣り道具を買う日々を過ごしています。
さて、今後数回、できればどうでもよい習慣として、単位について考えてみたいと思います。
デザインにはピクセルや級数など、誰とでも共有できる共通の単位が存在していますが、陶芸や釣りでは自分の感覚が物差しになることが多いです。 友人に陶芸を教えることがありますが、「右手より左手の方を少し強く押すんだよ」とか「下から土を押し上げるような力の入れ具合で」とか。生まれも育ちも筋力も違う私たちの溝はなかなか埋まりません。
一方、釣りでは一般化されているものが多く、たとえば長さの単位で1尋(ひろ)というのがあり、1.5メートルとされています。これは元々、漁師のおじさんが両手を広げた際の右手から左手の幅を基準としていると聞きました。船の上で糸を伸ばしている姿が浮かびますね。
釣りの単位に限ったことではないと想像しますが、小さな船に乗り一人で釣りをしていた頃は自分が物差しで事足りたのですが、船が大きくなり何人もが同時に作業する際に、尋ほど使いづらい単位はないですね。私は180センチメートル以上あるので、船頭の指示でハリスを3尋とったら1メートル近く差がでてしまいます。何としても魚は釣りたい。船頭の身長はこれくらいかな、と伸ばしきれない手で作業するのは辛かったでしょう。
そういうわけで、一般化された単位は便利です。
しかし同時に、ものごとに対する感覚的・直感的な把握が苦手になってきた気もしています。自分にとって「駅から徒歩10分」が近いのか遠いのか、「950キロカロリー」が食べ過ぎなのかそうでないのか、「すぐやる、明日やる」がいつなのか。 そんな人と比べない感覚的な部分での物差しを、普段の生活の中で少し意識してみたいと思います。