初めて使うこのギフトコードをかざすのが店員の方ではなくて、手前に設置されたセルフレジ横のスキャナだということに、店員のぽかんとした表情と、視野の端でひかるスキャンデバイスで気づく。画面のバーコードをそれにかざすと「ピコン」という音がなるが、セルフレジもスマートフォンアプリも支払い完了というようなフィードバックが全くない。店員の表情からもフィードバックが全く得られない。エラーだろうか。時間を空けて3回ピコンピコンとした後、仕方ないので店員が何か言うのを数十秒待っていると、いつの間にか決済が完了していたようでレシートを手渡された。
午前中は映像のためのグラフィック相談の打ち合わせと、去年の半ばくらいから関わっているウェブサイトの打ち合わせ。今日も幼稚園が休園の息子は隣町の友人と遊ぶために、私が映像についての打ち合わせをしている後ろを抜けて妻と出かけていった。打ち合わせ相手とも面識があるので声をかけてもらうが、「父の打ち合わせ中は話しかけてはいけない」というルールに基づいて、モニタに近づくことなく靴を履いていた。
私も息子と妻が会いにいった家族と面識がある。昼ごはんを別々に食べてよいのか確認しないままだったので、連絡が来てもいいように、なんとなく12時半くらいまで仕事をする。12時過ぎにコープの宅配がくる。今週の注文用紙が記入されていなかったのでコープの日だと忘れていたのだろう、先週注文分を受け取ってドアを閉めた。
連絡がこなかったので、そろそろと駅近くの唐揚げが柔らかい定食屋に向かう。うちのアパートの2軒隣が新しく家を建てはじめたところで、小学生くらいであれば立ったまま埋もれるくらいの深さに掘られている。駅に向かう途中にあるパソコン教室の前にはいわゆるママチャリが停めてあって、フレームには商品名が書かれている。『CarFeel 2』。いや、商品名かどうかは知らない。車的なフィールがあるかどうかも、『CarFeel 1』があったかどうかも知らない。 明るいが彩度の低い緑色の髪をした女性が、歩行者信号が赤に変わりかけている交差点を渡ろうと走っていくが間に合わなかった。横に並ぶとコンビニで売っている豚肉の刺さった串をくわえているのが分かった。
昼時は過ぎているが定食屋の店内は混んでいる。食後のコーヒーがセルフサービスで飲めるので、それを手元に置いて話をしているグループがいくつか見えた。唐揚げ定食と決めていたので、店員が水とおしぼりを置き切る前に伝える。メニューはいらない。 後ろのテーブルは6人くらいの高齢者。同じ習い事のグループで、習い事の曜日が第一土曜日から第二土曜日になんとなく変わったようだ。なんとなく変わったことをやっぱりそうだよね、と確認しあう。私はその様子を目の前に置かれた透明な仕切りの半透明な反射を利用して眺める。さらに後ろにはテレビが据えてあって、前後のコメンテーターの話から、おそらくウクライナ語と思われる言葉でのインタビュー映像が流れているよう。字幕までは半透明の反射では読めなくて、全く分からない言語として聞いていると、唐揚げ定食が左後ろから運ばれてきた。 4つ並んだ唐揚げの左から3番目をかじる。今日もここの唐揚げは柔らかい。先週友人からミスタードーナツで使えるオンラインギフトをもらったので、帰りにドーナツを買って帰ることにした。