50分後に雨が降ります。yahoo!天気アプリの雨雲レーダーで確認して、折り畳み傘をウエストポーチに入れる。何年も前に軽井沢のアウトレット、AIGLEで買った辛子色のウエストポーチ。「ながざいふ」と打って、「長財布」が変換候補にでてこなくて、「ながさいふ」で連濁しないのか?と、Claudeに聞く。「ながざいふ」でいいらしい。ウエストポーチには長財布と、折り畳み傘と、本が入っている。外へ。まだ雨は降ってないし、明るいので降らない気がしてたが、帰ってきてこの文章を書いてるときにはすっかり雨。
運動の意味で、少し街を歩く。20分くらい。魚屋の跡地前。先週、同じようにここを一人、昼飯前に歩いていたら、知り合いの雑貨屋の人が前から歩いてきて。知らない人と2人。上着のポケットに突っ込んだ手も出さずに、やあ、くらいの挨拶くらいで別れようと決めて近づく。が、「昼間からふらふらしてるんですか?」とニヤニヤしながら(おそらく、私がよく飲み歩いているという前提で)話しかけられてしまう。足を止めずに「呑んでるわけじゃないからね」と答えたが、「のんでる」の「の」が音としては届きにくいのと、滑舌の悪さとで、届ききらず。察しのいい人で、少しの間があった後、意味は汲んでくれたが。へへへ、とでも返しておけばよかったとしばらく考え続けてしまった。ということを思い出してしまう。気の利いたことを言おうとする必要はない。
駅の方までぐるりと歩いて、ネパール料理屋。道に面した大きなガラス越し、手前の4つのテーブルは埋まっているのが見える。注文しようとしている「カジャセット」は調理に時間がかかる。料理の配膳具合から注文する頃には、他の調理は終わってるだろうと入店。店員が奥で作業しているようだったので、ドアに吊された鈴が少し大きくなるようにドアを開け閉めする。「カジャセット」と「ネパールビール」。注文は決まっているので、水を持ってきてくれたタイミングで注文する。本を開く。『世界の適切な保存』。ビールとサービスのパパドが運ばれてくる。いつもより胡椒が多く練り込まれている。両手で半分に割って、片方づつ、あとは齧る。
座った席はキッチンの入り口の右側。レジがすぐそばにある。入り口から真っ直ぐレジに向かってきたインド系の人。2キロくらいの米を買って帰った。同郷の人たちにインディカ米を売ってるって言ってた気がする。450円。今飲んでるビールは550円。昨日、家族で行ったラーメン屋の生ビールは500円だった。「生ビールの樽が値上がりするから、500円で生出せるところはうちくらいだよ」と漁師のやってる居酒屋で言われたばかりで、ここのラーメン屋も500円じゃん、と思ったのを思い出した。
今日の店内BGMは音量が大きい。BGMといってもYouTubeを流しているだけだから、時々、広告が音声だけで流れる。打楽器、多分、タブラの音が響く。リバーブが掛けられたタブラの残響。いいぞ。ネパールビールのラベルに描かれたヒマラヤ山脈をしばらく眺める。瓶には1/5くらいビールを残してある。グラスに注がれたビールの量は、KIRIN BEERと印字されたローマ字のアセンダーラインとちょうど同じ。タブラいいぞ、と思ってるところで、KDDIの広告が流れる。いつもなら流れっぱなしにされるが、今日は「Skip」の文字が出たあたりであろうタイミングで広告が飛ばされて、タブラが帰ってきた。いいぞ、店員。
窓の外、道の向こう側、「働く市民の広場3F」という看板を読む。看板の前を傘さして歩く人がいる。雨か。このときにはもう料理は運ばれてきていて。何か日記用にメモしようとして、「内臓も歯ごたえ」とメモしたところで、ぜんぜん気分が乗ってないなと思い、料理について書くことを諦める。諦めてヒマラヤ山脈をもう一度眺めた。