
土曜日の夜から降り始めた雪は日曜日の午後まで降り続いた。近所の人はこんなに降るのは10年に一度くらいだと言っていて、実際、雪かきを持っている家も少なそう。北側の影になる道は二日経った今日も凍っている。最近、犬を飼い始めたバイク修理屋の前もそうで凍っていた。ただ、歩道の真ん中あたり、人の歩幅に合わせて丸く氷が足跡のように溶かされていた。お湯を掛けたのだと思う。せっかくなので、丸く溶かされた氷の足跡を踏んだ。
昨日の新年会のアルコールが残っているのか、雪や来客や新年会の移動などの疲れが残っているのか、午前中はとくに作業せず。スパイスが良いと思い、いつものネパール料理、カジャセットを求めてインド料理屋に向かう。ドアを押し開けると会計中の客。他、店内には先に2組ほど。窓際の席。基本のランチメニュー(カレー)はテーブルに開かれているが、ラミネートされたペラ1のネパール料理メニューはメニュー立ての一番後ろにある。水とおしぼりを持ってきたスタッフにメニューを指差ししながら注文する。「カジャセット」と書き終えるくらいのタイミングで、あと、ネパールアイスビールを、と伝える。
パパドがこない。ビールを頼むとサービスでパパドがくるのだけれど、今日はビールだけきてパパドがこなかったので、シェフが変わったからな、と思う。iPhoneのメモに「パパドが出てこない」とメモしていると、きた。焼きたてのよう。上半分が焦げ気味なので、「コゲ半分」とメモをする。
どこか行きたいところある?と、連れの男性に聞かれた女性、女の子がショッピングモールと答える。注文していた料理がスタッフによって届けられて、ショッピングモールの声の数音高い音域で、ありがとうございますと言う。私の目線は手元の本(いとうせいこうの『ノーライフキング』)にある。ぼんやり日が差してきた本。しかし今日は周りの声がよく聞こえる。ショッピングモール、とメモしたところでBGMが掛かる店内。無音だったか。
しばらくして私のテーブルにも料理、カジャセットが届けられた。カトラリーの入った箱を開けようと閉じた本のハードカバーの右隅が水の入ったステンレスのコップにぶつかって、中の氷がコップに当たる音。ほうれん草から湯気。皿の4方に配置されたハート型のニンジンときゅうりで今日のシェフがまた前と違うことがわかる。まあ、何人かいるのだろう。これまで丸い真鍮の皿に12時、3時、6時、9時と配置されていたハートが、12時、3時、5時、7時とやや右下に寄った配置。
ショッピングモールに行くのかどうかは分からないが、ショッピングモールと同じように持ち上げられた音程で、ご馳走様でした、と聞こえて少しびっくりする。ドアが開いて寒い。店を出た2人は駅の方へ向かって歩いていて、女の子は両手を大きく広げながら歩いていて、なにかバランスを取っているようにも見えた。遠ざかる2人の代わりに、串に刺さっている揚げかまぼこを持った老夫婦がこちらに向かってくる。