
職場のエアコンが強くて長袖のカーディガンを着てるんだろうなというメガネとマスクをした女性と歩道橋を登る手前ですれ違う。今日は眩しく暑い。歩道橋の奥には天守閣。その奥に見える山はやや霞んでいたか、文章を書いている今となってはちょっと思い出せない。近所の牛タン屋は臨時休業、メニュー開発のために九州に行っていると別の飲食店の人から聞いた。お城の向こうにある蕎麦屋まで行くつもりで堀の横断歩道。止まった車にすごく小さく手をあげて感謝を伝えた時、本丸にちょっとした食堂があったなと思い、堀を超えて二の丸から入城。
暑さのせいか人出も少ない。平日、子供の殆どいない。今週は三者面談らしく、13時半には学校が終わると言っていたから、まばらな観光客の横をさっさと登っていくと息が上がる。「本丸茶屋」という看板を見て、そうだ、茶屋だ。食堂でもカフェでもないんだよなぁ、と思いながら上がってきた。
自動ドアではないガラスのドアを左に引いて入ると、ちょうど退店する二人組。12時過ぎだが、店はガラガラ。奥へどうぞと言われて6名掛けのテーブルの一番奥に座る。背もたれのない椅子がぎっちり3つ詰まっていて座りづらい。隣には70代くらいだろうか、細かい花柄のブラウスで揃えた女性が二人。ビールと蕎麦。いいですね。
柔らかい表紙のメニュー、1ページ目には出汁をしっかりとってるという告知。なるほど。ここは素直に、出し巻き卵をのせたうどんにする。カレーうどんもよかったが。カレーうどんはメニュー名だけで写真がなかったのがよい。名前だけで掲載されているメニューの中に逸品は隠れていることが多い。あと、ビールと板わさ。
ビールがお盆に乗せられて運ばれてくる。お盆は回収するのかと思ったらそのまま置いていく。板わさも少し形の違うお盆で、これもそのまま置かれる。ついにうどんもお盆ごと。三つもお盆が並んだことで本を開くスペースが窮屈。BGMはMISAだったか何とかミキだったか、ジュピターの琴バージョン。そして今、調べたら全然違った、平原綾香だった。J-POPを琴でカバーするシリーズだなんて思いながら、あんまり質のよくない蒲鉾を食べていると、次の曲がクラシックの名曲。曲名は分からない曲の琴バージョンだったので、ジュピターも原曲の方の琴バージョンだのか。
うどんの写真を撮りながら自然光の入る席がよかったな、入り口の方から子供の声が聞こえたので目をやると、ガラス面に外向きのカウンターがあることに気づいた。甘いだし巻きがのったうどんを食べ終えて、ビールのお盆に器を移動させ、空いたこの広いお盆に3切れ残した板わさとビールを移動させてようやく盆が落ち着いた。
会計はセルフなので、静かに会計が終わる。ガラス戸に手を掛けながら、ちらりとカウンターに目をやると白いノースリーブでビールを飲む女性が羨ましく思う。